物理学的な話はまったくしない。
しかし、私はタイムマシンが実現するために人々が暗黙のうちに前提している大きな困難と言うか矛盾に気づいた。
それは、タイムマシンが実現するには、自己を複製する必要がある、ということである。
タイムマシンがどういうものかは、みな理解していて、
それが実現したら江戸時代にいって関が原の合戦を見てみたいとか、
自分の先祖を見てみたいとか、過去の幸福だった自分や自分の家族を見てみたいとかいう
話をする。
未来に行きたいという人は少ないように感じる。
でも、自分の結婚相手を知りたいとか、未来がどんな便利な世の中になっているか見てみたい、
という人もいるだろう。
もっと現実的な人は、宝くじの当選番号とか(自分で番号を選べる必要があるが)、競馬の結果とか、株価や外国為替レートなどを確認して大もうけしたいなどと思うかもしれない。
そして、みんな「そんなウマい話があるわけない」と密かに思っている。
それは正しい。しかし、そのウマい話というのは「タイムマシンが実現すること」、つまり「過去や未来へ移動すること」ではない。
それよりもっとウマい話というのは、過去や未来へ「移動」するためには、一時的に自分が複製されなければならない、ということなのである。
もしくは、その人が「現在」から消滅する必要がある。
そして、過去へ行って再び現在へ戻るには、消滅した自分を復元させる必要がある。
それは、時間旅行などよりも、もっと非現実的、というか、ありえないことではないか。
続きはまたいつか。