A氏の窃盗疑惑について今更だがどういうことだったのか推測してみた。
ネットで得られる情報からすると、場所はサウナで、置き忘れていた財布と時計を盗んだということである。彼は盗んだ後2時間ほどサウナにいて、その間に被害者が通報し警察が防犯カメラを確認してA氏は逮捕され書類送検された。しかしA氏は財布と時計をすぐに返したことなどから不起訴処分となった。本人は忘れ物として届けようと思っていたと主張しているらしい。
サウナのロッカーというのは、縦に細長いロッカーがびっしりと並んでいて、通常は鍵が閉まった状態で扉は閉じている。客は受付で鍵をもらい、鍵に書かれた番号のロッカーを使用する。施錠されているロッカーの扉を鍵で開錠して開けるが、扉を開けているときは鍵はロッカーの鍵穴に刺さったままとなる。ロッカーの中にはガウン、パンツ、タオル等が入っていて、客はロッカーの前で着替えて衣服や持ち物をロッカーにしまって扉を閉めて鍵をかけ、鍵はリストバンドのような作りになっているので手首にはめた状態でサウナに入ったり休憩室で横になったりする。だからロッカーの扉が開いているのは客がその場にいるときだけで、客がいないのに開いていたとしたら閉め忘れくらいしかありえない。
財布や時計などの貴重品は風呂にはいるのだから持っていけない。ロッカーにしまってもよいが、フロントに預けることができ、それが推奨されている。紛失や盗難はよくあることのようだ。
私も何度かサウナを利用したことがあり、ロッカーの扉が開けたまま放置されているのを見たこともある。それは短時間その場を離れているだけの場合だったり、扉を閉めて鍵を抜き忘れていたり、鍵を刺したまま扉が開いてそのままになっている場合などであるが、そのロッカーの中を見ることはない。中をのぞいただけで、窃盗の意図を疑われるだろう。
事件は15年前の話だが、当時でも防犯カメラはあっただろう。そしてそのカメラの存在は利用者にもわかる。防犯カメラがあると張り紙がしてある店もある。
A氏が主張しているように、貴重品が置いてあったら盗まれてしまうからフロントに届けてあげようと思う人はいるかもしれないが、そうであれば自分のロッカーに入れてサウナに行ったりしないですぐにフロントに届けるだろう。
彼は結局自分のロッカーに入れたその財布と時計をフロントに届けずに持ち出して店を出たところで警察に逮捕されたそうである。
彼は当時徹夜明けで意識が朦朧としていたと主張しており、他人の財布などをすぐに届けずに自分のロッカーにしまい結局届けなかったことの不自然さは認めていたのだろう。
結果的に窃盗ということになるとは思うが、起訴されなかったのは、いわゆる出来心的な犯行で、無施錠のロッカーを物色して意図して盗んだりしておらず、すぐに返したことなどによるのであろう。
窃盗にしては無計画で周到さにも欠ける。
想像するに、たまたま彼が使用したロッカーの近くに財布などを置いたまま施錠し忘れていたロッカーがあったのだろう。施錠していないロッカーは一目瞭然なので探さなくても目に入る。扉が開いていたので中を覗いてみたら財布と時計があった。そこで彼は出来心でそれをとって自分のロッカーにしまったのではないか。そして、サウナにいる間、どうしようかと考えてこのまま持って帰ってしまおうか、フロントに忘れ物として届けようかと迷っていたが結局持って帰ろうとしてしまったといったところではないか。
ひとつ、これだけはあり得ないと思うのが陰謀とか国策捜査だとかいう説である。なぜならいつ訪れるかわからないサウナなどにわざわざ偽の忘れ物を仕込んでそれを盗ませるような手の込んだことをするのはあまりに難しく、本当に陥れようと思ったらもっとほかの方法をとるだろうからだ。
サウナのロッカーに貴重品を置いて鍵をかけ忘れた方も悪いが、こういう場所になれない人ならありうる。特にあの手の場所は酒を飲んだ後とか徹夜明けとか終電を逃してとかいう場合にやむを得ず行くことも多いので、やや冷静さにかける状態であることは多い。