先日youtubeで、自己啓発というか、ビジネスで成功するハウツーというか、
そういう、講演みたいなものを見た。
藤原和博という人のものだ。
おもしろかったしためにもなったが、一つ、ひっかかることがあった。
彼は様々な職種の人間の「時給」を示し、何が時給の差を産んでいるのかという答えは「希少性」と語った。
そして、自分がある分野で100人に一人の希少性を持っているなら、つまり、それほど努力したのなら、またもうひとつ別の分野で100分の1の希少性を獲得すれば、
100x100=1万、1万人に一人の希少性を獲得できる、と言う。
なるほど!
と、思いはしたが、もちろん世の中そんな簡単ではない。
そもそも、希少性が人の労働の価値を左右するのは確かであるが、
希少すなわち高給とは、ならない。
それはみなさんが身に染みて感じておられることだろう。
希少なものに高い価値を与えるのは、価値を与える対象がすべて同じように公開され、
価値を付与するものにも、付与されるものにも、すべて平等な対等な機会が与えられて、
初めて成立することである。
これは、モノの値段についても同様である。
「いいモノは高い値段が付き、悪いものは安い値段でしか売れない」
これが現実でないことは、みなさん、これまた身に染みて痛いほど実感しておられよう。
そもそも、価格競争がおこなわれる状態が成立すること自体、きわめてまれで困難なことなのである。
それを前提としている統計学や経済学は、やっぱり無価値なものであると、
言わざるを得ない。