ダメな理由は、理系の大学を出てエンジニアになっても自分はコードを書かず大学すらでていない下請けに書かせ下請けは言われたことをやるだけだから、というようなことであった。
カチンときたのは、私が「大学も出ていない下請け」だからなのが一番であろう。
また彼は、アメリカではプログラマはプロスポーツのアスリートのような扱いを受けていると語り、日本はそうでないからダメなのだという。
しかし、私はこの手の「日本は横並びで個性がないからダメだ」論が、「やまない雨はない」論と同様に大嫌いだ。
ITがダメなのは「社会的文化的な問題」だという。
日本のITがダメだということの意味はよくわからないが、おそらくWindows, Google, Facebook, Appleのような技術が日本に誕生しない、そういうものを生み出すビルゲイツやスティーブジョブズのような天才が生まれないというようなことを言いたいのだろう。
でも、それは逆で、ビルゲイツたちが特殊なのである。彼らのような人間がポコポコ生まれるような社会や文化の方が特別なのである。
また、一人の天才が発明した文化、例えばWindowsを、世界中の人々が使っている。エンジニアですらない、理系の大学を出てもいない、なんの特別の才能もない人々が。
それらのWindowsユーザが、世界に通用しないダメな人間だとは誰も言わない。
むしろ、数学もコンピュータサイエンスも何も知らなくても、子供でもコンピュータを使っていろいろなことができるから、Windowsは素晴らしいのである。ビルゲイツはそれを願ってパーソナルコンピュータを作ったのである。
自分が成功して大金持ちになりたい、という気持ちもあっただろうが(もしかしたら全くなかったかもしれない)、それだけの動機でこんなものが作れるはずがない。
日本のIT産業は主にアメリカで発明された製品を運用しているだけのような形であるが、それはそれでいいのである。
高性能高品質の車や家電製品を生産できるという立派な役目がある。
(その役目も終わりつつあるが...)
「社会的文化的問題」だというのは結構。もうそういう「日本はダメ、欧米では...」は聞き飽きた。
個人の意識の問題、能力の問題なら、「じゃあ頑張るか」となるが、
日本の社会や文化に問題があるなら、お手上げである。
いったいどうするつもりなのか?
破壊ですか?
日本的なもの、アジア的なものはそれはそれで個性である。
大成功者をつくらないかわりに大失敗者もつくらない。
どちらがいいかは一概に言えない。
一発あてたければアメリカに行くもよし。
自分が成功するだけでは満足できず、日本の社会や文化まで改革したい?